バラン・ボー・オダー監督作「ピエロがお前を嘲笑う」("Who Am I – Kein System ist sicher" : 2014)[DVD]

ハッカー集団がネットで存在感を高めるべく奮闘するも、やがて敵対するサイバーマフィアの策略に嵌まり、窮地に陥る様を描くクライム・スリラー作品。

 

ドイツのハッカー集団の一人、ベンヤミンは、警察に出頭すると、真相を明かす相手としてユーロポールの欧州サイバー犯罪捜査責任者のハンネを指名する。ハンネはそれに応じ、ベンヤミンに尋問を始める。

幼い頃からスーパーヒーローに憧れていたベンヤミンは、父がフランスへ逃亡し、8歳の時に母を自殺で亡くした事から、祖母に育てられる。歳月が流れ、大人になったベンヤミンは相変わらず内向的なままで、ピザの配達員をしながら、アルツハイマーを患い介護が必要な祖母と二人で暮らしている。ベンヤミンは14歳でコンピューターにハマった後、プラグラミングをマスターすると、ハッキングを始める。不遇を強いられ、負け犬人生を嘆くベンヤミンは、やがて似た者同士が集まり、望み通りの人間になれるダークネットに居場所を見つける。ベンヤミンはリタリン漬けになりながら、ネットに入り浸る様になる。ダークネットには、どこにでも侵入できる事からハッカー界のスターと称えられる、正体不明のハッカーMRXがおり、ベンヤミンはMRXの主張する「安全なシステムは無い」「不可能に挑め」「サイバー世界と現実世界を楽しめ」の3つの理に多大な影響を受ける。

ある時、ベンヤミンはピザを大学生グループに配達した際、中学時代から好意を抱くマリと遭遇する。ベンヤミンの意に反し、マリは10年ぶりでベンヤミンを覚えておらず、試験の問題を盗めたら100ユーロ払うとベンヤミンを唆す。その夜、ベンヤミンはマリの気を引くために、大学のサーバー室に侵入し、試験のデータを盗み出そうと企てるが、警備員に見つかって逮捕される。

ベンヤミンは犯歴が無かった事から、50時間の奉仕活動が命じられ、街の美化活動を行う。ベンヤミンはそこで同じく奉仕活動に従事するマックスと出会い、自らの犯行について明かす。マックスはベンヤミンの腕を見込み、夜中に民家で開かれる乱痴気パーティに招待する。ベンヤミンは客で溢れかえる屋内でマリの姿を見つける。ベンヤミンは自分と真逆の性格のマックスに屋内の一室に誘われると、プログラムに通じるシュテファンとハードオタクのパウルを紹介される。マックス達はベンヤミンがマシン語に長ける事を知ると、腕前を披露する様に促す。ベンヤミンはPCからネット経由で近隣一帯を停電させて見せ、マックス達の仲間入りを果たす。その直後、警察がパーティを嗅ぎ付け、取り締まりにやって来る。ベンヤミンはマックス達と民家から逃走を図り、成り行きでマリも一緒に連れ出す。程なく、マリはベンヤミンの事を思い出す。一同は逃走に成功すると、その場で解散する。

帰宅したベンヤミンは、祖母がいない事に気付き、捜索の末、車道を徘徊しているところを発見する。ベンヤミンは医師の勧めを受け、祖母を入院させる。その後、ベンヤミンは再びマックスと出会い、MRXの考え方に共鳴する点で意気投合する。ベンヤミンはマックスの大胆不敵な言動に翻弄されながらも、徐々に影響を受けていく。

ベンヤミンはマックス達に半ば強要され、ドイツ国民同盟の講演会場に忍び込み、ハッキングに加担させられる。ベンヤミン達は講演の妨害に成功するも、犯行が発覚し、聴衆の襲撃を受けながらも辛うじて逃走する。

その後、ベンヤミンは祖母の家をグループの活動拠点として利用し始める。グループは活動の様子をネットにアップし、ハッカー界で名を挙げると、アノニマスやMRXに並ぶ存在を目指し、気勢を上げる。マックスはピエロのマスクを付けた姿をグループのモチーフとして提案し、ベンヤミンの発案で"Clowns Laughing At You"(ピエロがお前を嘲笑う)からグループ名をCLAY(クレイ)と決定する。その後、クレイは金融市場や製薬企業等、立て続けにハッキングを行い、名を馳せていく。

ある時、ベンヤミンはマリとスーパーで遭遇するも、物怖じしてアプローチができず、それを見かねたマックスが手本を見せる。ベンヤミンは焦燥感を抱く。一方、マックスはクレイの活動をMRXに認めてもらいたいと願うが、一顧だにされず不満を抱く。その頃、ロシアのサイバーマフィアと通じるハッカー集団FR13NDS(フレンズ)が、ドイツ連邦軍に続き、欧州中央銀行への攻撃を行い、一気に台頭してくる。ドイツ捜査当局はユーロポールのハンネを捜査担当に招聘する。フレンズは盗んだデータを闇サイトで販売しており、ハンネは三年間フレンズを追い続けていながら、成果を得られていない事に気を揉む。

ある時、クレイは詐欺を働き、ポルシェを盗む。マックスはベンヤミンに対し、潜在能力を生かしておらず、人の影に隠れてろくに話もできないと詰ると、誰かに頼ったままで、自分の限界を超えない限りは進歩しないと諭す。ベンヤミンはその言葉に触発され、ポルシェでマリに会いに行く。ベンヤミンはマリを車内に招き、意を決してキスをするも、マリに拒絶されてしまい、落胆する。

程なく、MRXがネット経由でクレイに接触してくる。MRXはプレゼントと称して、ハンネの作成した特捜班の極秘捜査資料をクレイに贈る。その中でハンネはクレイが無害で大物では無いと評価しており、クレイはMRXに眼中に無い存在だと痛罵される。憤慨したマックスは大物を狙って一気に頂点に上り詰める事を決意する。ベンヤミンは連邦情報局への侵入を提案する。

クレイは局の職員にフィッシングを仕掛け、首尾よく清掃員用の入構証を詐取する。クレイは深夜に局に侵入すると、サーバー室からシステムをハッキングし、局内のプリンタに大量のクレイからのメッセージを印刷する。大仕事を終えたクレイは、クラブで祝杯を上げる。ベンヤミンはそこでマリと出会い、良い雰囲気に持ち込むが、その直後にマックスがマリとキスをしているのを目撃し、逃げ帰る。ハッキング時に密かにデータを持ち出していたベンヤミンは、マックスへの意趣返しからネットを介してMRXにデータを渡す。

翌朝、局に赴いたハンネはハッキングの事態を把握する。その直後、フレンズの一人、クリプトンが射殺体で発見される。マックス達はベンヤミンの様子見に拠点を訪ねる。憤慨するベンヤミンは、マックスに反目して、ただのペテン師だと罵り、マックスから殴り飛ばされる。その時、一同は報道でクリプトンの死と共に、局から盗まれたデータが遺体の横で発見された事を知る。クリプトンは連邦情報局の犬だった事が判明し、資金提供に税金が使われていた疑いが取り沙汰される。ベンヤミンは局員のリストを盗み出し、MRXに送った事を打ち明ける。一同は、MRXがフレンズの一人であり、ロシアのサイバーマフィアにデータを売った疑いを抱くと、クリプトンの遺体の傍からロシア製の薬莢が発見されている事から、犬だと知られた為に始末されたのだと悟る。

シュテファンは深刻な事態に陥った事に恐れをなし、クレイから脱退する意向を示す。マックスは自分達でMRXを見つけ出し、疑いを晴らすべきだと説き、翻意を促す。そこにマリがベンヤミンを気遣って様子見に訪れるが、ベンヤミンはマリを追い返す。

その夜、クレイは州立図書館の公衆回線からダークネットに接続し、MRXとの接触を図る。ハンネが率いる特捜チームはその動きを探知し、位置を特定する。ベンヤミンはMRXと接触すると、仲間入りを志願する。MRXは捜査を監視し、遠隔で操作する為にユーロポールにトロイの木馬を仕掛ける様に命じる。ハンネは警察隊を率いて図書館に駆け付け、捜索を開始するが、クレイは辛うじてその場を切り抜け、逃走する。ハンネは失態の責任を問われ、停職を命じられる。

ベンヤミンは濡れ衣を晴らす為に、MRXがユーロポールのシステムに侵入した瞬間に、MRXの端末に侵入できる様にすべく、トロイの木馬に細工を施す事を企てる。マックスはベンヤミンに謝罪し、二人は和解する。クレイはハーグのユーロポール本部に訪れるが、厳重な警備と堅牢なシステムで従来の方法では侵入できない事を知る。マックスは侵入を図った際に釘で右手を負傷する。ベンヤミンは本部への来訪者が落とした入構証を密かに奪取すると、仲間を危機に陥れた責任を取るべく、単身、本部への侵入を決意する。

夜、ベンヤミンは警備員を欺き、入構証で食堂に侵入すると、テーブル下にサーバーへの侵入を可能とする偽のアクセスポイントを設置する。その後、ベンヤミンはダークネットを介して、MRXにトロイの木馬の受け渡しを図る。しかし、目論見は見抜かれており、ベンヤミンは逆にMRXに罠に嵌められ、ロシアン・マフィアの襲撃に遭う。ベンヤミンは地下鉄坑内に逃げ込み、辛うじてマフィアの追跡を免れる。

ベンヤミンは仲間が宿泊するホテルに戻ると、そこで三人の遺体を発見する。その後、ベンヤミンは家に戻り、マリと会う。ベンヤミンはマリとキスをすると、自分と一緒に逃げる様に請い、マリはそれを承諾する。ベンヤミンはその足で警察に出頭し、ハンネに真実を話すのと引き換えに、証人保護を求めたのである。

ベンヤミンは自分が協力し、MRXを捕らえる事で、捜査班は結果を出し、ハンネは復職できると提案する。ハンネがそれに応じると、ベンヤミンはダークネットでMRXに成り済まし、自らが捜査当局の犬である事、更にマフィアとも繋がっておりクリプトンを殺した事をハッカー達に吹聴する。ベンヤミンはMRXが憤慨し、接触を図ってきたのを見計らって罠に嵌め、その居場所を特定する。それを受け、ニューヨークで19歳の青年が逮捕され、ハンネはベンヤミンの保護を決定する。

その直後、ハンネはベンヤミンの供述に不審な点を見出し、調査を始める。ハンネはマリからベンヤミンと卒業以来会っていないという証言を得ると共に、ベンヤミンの母の担当医から母が解離性同一性障害を患い、4つの人格を持っていた事、それが遺伝可能で、リタリンが起因して発現し得る事を聞く。また、ベンヤミンが仲間達の遺体の傍で発見し、警察に持ち込んだ薬莢が現在の物では無く、祖母が曽祖父の形見として受け継いだ第2次大戦時の物だと判明する。

ハンネはベンヤミンに右手の釘による傷痕について問い質すと、どのホテルからも遺体が見つかっていない事を明かす。ハンネは仲間3人が全てベンヤミンによって創り上げられた人格であり、ベンヤミン単独の犯行だと喝破すると、証人保護の適用を撤回する。ベンヤミンは自分が母と同じ病だと指摘され、またマフィアに殺される恐れから当惑する。

その後、ハンネはサイバーマフィアに打撃を与えた功績が認められ、復職を果たす。ハンネはベンヤミンの境遇に同情すると、自ら連行を申し出て、ベンヤミンを密かにシステムに侵入させ、証人保護のプログラムを書き換えさせる。ハンネは停職覚悟でベンヤミンを脱走させると、ハッカーを止める様にベンヤミンに諭す。ベンヤミンはそれを約束し、ハンネと別れる。しかし、ハンネはベンヤミンを見送った直後に真相に気付く。

ベンヤミンは別人となって船で出国を果たすと、船上でマックス、シュテファン、パウル、マリと落ち合う。3人の死は作り話であり、5人は共謀する事でベンヤミンが多重人格者である様に見せかけ、ハンネが自らそれに気付く様に仕向けたのである。

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